北東北メリーゴーラウンド⑤

  • 2007年03月26日(月)

さて、昨日の続き、花巻駅のホームです。列車が入ってきました。10:18、花巻発。
二つ目の北上で乗り換え。秋田県・横手に向かいます。乗り換え時間が三分だったので、ギリギリに乗り込んだ車内にはすでに乗客がおり、今回はボックス占有ならず。
まだ雪が残る山間部の景色を横目に、読書、読書…。11:46、横手着。
ここでの目的はこちら。

横手といえばやきそばです。これは計画段階から楽しみにしていたんですよ。駅前の掲示板にはえらい数の焼きそば屋が記されています。その中から「焼きそばのふじわら」をチョイス。15席ぐらいしかない小さな店です。会社員らしき人や運送屋風の人、近所のおばちゃんまで、地元の人が普通に入ってきます。私以外にも、スーツだったけど明らかに観光客な人が一人いました。デジカメで店内をパシャパシャやってんだものw
で、人のこと言えない私がパシャっと写してから喰ったのがこちら。

肉玉中盛り(500円)。安い。女性なら中盛りではなく普通盛り(450円)で十分でしょう。
麺はゆで麺。ソースもしょっぱすぎず、キャベツの甘みと絶妙のバランスです。目玉焼きが乗っているのが横手焼きそばの特徴。いきなり黄身をつぶすと、玉子一個分なので味が全体に回りきらない。半分ぐらいいってからつぶして食べると二つの味が楽しめて良いでしょう。イヤ旨かった。


食後にかまくら館に行って、横手駅に戻ってきました。13時ちょい前、秋田行きの列車が入線。乗り込んで出発を待ちます。
と、若い車掌が私の目の前で一人のおばあさんをつかまえて何か聞いているではありませんか。


「どこから来られました?」


?…そうか、このおばあちゃんは「乗りっぱなし」なのかな。
この列車、秋田行きになる前はどこからか来た横手終着の列車だったんですよ。で、実際そのまま降りずに横手へ向かおうとしている人も何人かいたので、このおばあちゃんもそうした客の一人だと、最初は思ったんです。
でも、どうも様子がおかしい。車掌はしつこく「どこから」を連発し、おばあちゃんは口ごもって答えようとしない。そのうち、車掌の口からビックリする一言が。


「今、線路わたって来られましたよね?」


??……指さす先は横手駅の裏手。駅舎と反対側のそこには道路と空き地と、それらと線路を隔てるフェンスらしきものが…ない!どうやらおばあちゃんはそこから入ってきてホームへよじ登り、列車に乗ってきたらしいのです。
無人駅とかなら分かりますが、4番線まであるような大きな駅ですよ。ちょっと信じられないよな、と思って聞いていると「車で駅まで送ってもらったんだけど裏手で降りた。見たら列車がいたので乗り遅れるかもとつい入ってしまった」とおばあちゃん、言い訳(笑)。車掌、「絶対にやめてくださいね」と注意して切符を発券。
「なんであんなところで降ろされたんだろう?」と不思議に思っていると、おばあちゃんが座った隣にいた、これまたおばあちゃん二人が話しかけはじめました。どうやら知らない間柄でもなさそうで、「大変だったねぇ」ってな雰囲気で声を掛けています。おばあちゃん、事情を説明しはじめました。何があったのか知りたくて耳をそばだてていると…


!!!………訛っててなに言ってっかわかんねぇ(笑


若い車掌相手の会話は何となく分かったのですが、お年寄り同士になるともうさっぱりです。こんなこと言ってんだろうなと分かったのは「横手なんて何度も来るわけではないので裏に降ろされても駅舎へ回る道なんて知らない」ってところだけ。それもおばあちゃんが外を指さしてぐるっと回すジェスチャーを加えてくれたのでかろうじて分かったぐらいですから、誰に車で送ってもらったのか、線路を横切ったのは誰かにそそのかされてのことかそれともおばあちゃんの自己判断によるものか、肝心なところはなにも分からず。あまりに聞き取れないのが可笑しくて、申し訳ないけれど最後の方は笑いを堪えるのに必死でしたw
三人は次の「後三年」という*1で降りていってしまいましたとさ。以上、「平成版・後三年の役」、おしまい。


次回は秋田。今度は私が説教されます。

*1:「後三年」という駅:文字通り「後三年の役」の古戦場が近くにある。