山内昌之『嫉妬の世界史』

嫉妬の世界史 (新潮新書)

嫉妬の世界史 (新潮新書)

洋の東西を問わず世界史上に様々な形態で現れた「嫉妬」。嫉妬を抱いた、嫉妬の対象となった歴史上の人物を取り上げた一冊。「男の嫉妬は始末におえない」ってのは同感だw
取り上げられているエピソード自体はそれほど目新しいものばかりというわけでもなく。終章で嫉妬されなかった男として保科正之が取り上げられています。嫉妬されないためには有能で、なおかつウソをつかない人間性が必要だ、と。
じゃあ、「嫉妬しない方法」ってのはどんなものだろう?と、本書の趣旨からはかなり外れた方向へ考えを巡らせてみました。


筆者は、嫉妬を喜怒哀楽と同様に人間が生きていくための「必要悪」と捉え、「健康を維持する体内の自動調節作用のような働き」(序章)を持つものとしています。なるほど確かにそうです。人間、そうそう綺麗事ばかりでは生きていけないので、そういう感情が湧き出てくるのを避けることは出来ない。
ただ、「嫉妬」ってのは結局他の誰かに向かう負の感情であって、そればかりではいつまで経っても自分にプラスには働かない。これを内なる自分に対する正の感情に昇華させる工夫は必要だな、と思います。何でしょう、「負けん気」ってのが一番近い言葉でしょうか。
だから、出発点は「嫉妬」でもいつの間にかそれが「負けん気」になっている、そういう心の持ちようが大事だな、と、人一倍嫉妬深い私は思うわけですよw


でも、それは大変なことらしいです。

しかし、嫉妬は驚くほどたやすいのに、勇気を発揮することはむずかしいものなのだ。(終章)