ペルセポリス』

ペルセポリス(公式サイト)
【評価】★★★★★
監督・マルジャン=サトラピの自伝的作品をアニメーション映画化。イラン・イスラム革命から現代にいたる激動期を「女性」の視点から見つめつつ、主人公マルジが女の子から女性へと成長する過程を描いた作品。

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オフサイド・ガールズ』を観た時にも思ったのですが、イランにおける女性の権利について、外にいる私なんかは「悲惨」「同情」というイメージを持っているのですが、当事者は案外ユーモアに溢れた描写をするんだな、と思いました。とりわけ女性が手掛けた『ペルセポリス』からはもちろんこの問題に対する強いメッセージ性を看取できたのですが、もっと過激な、深刻な描写を予想していたので、その辺は少々意外という感じです。
イラン・イラク戦争の戦火を避けてマルジはヨーロッパに留学し、そこで文化・思想の違いにやられてしまって、最終的に国に帰ってしまいます。そこら辺の心理描写がイマイチ理解できなかったのは、マルジは同時に大人の女性への過渡期を迎えており、そこのところが男である私にはピンと来なかったからかも知れません。本当はここの部分で★一つ引いても良いのですが、男だから分からなかったのだろうということで減点しないでおきました。
主人公もさることながら、おばあちゃんが魅力的です。男の子におけるおじいちゃんが父親とは違った意味でのお手本になる(少なくとも私はそうでした)のと同様、女の子におけるおばあちゃんというのもまた大事な存在なのでしょう。「いつも自分に公明正大に」。良い言葉です。