原聖『ケルトの水脈』

ケルトの水脈 (興亡の世界史)

ケルトの水脈 (興亡の世界史)

ローマ文明+キリスト教と対をなす、ヨーロッパの基層文化であるケルト文化。本書は「歴史の記憶」として後世において形成されたケルト文化のイメージ対して批判的に再検討を加え、ケルトの同時代的意味合いを再考することを目的にしています。
主に扱われているのはフランス・ブルターニュ地方。この地方が「キリスト教化」されていく過程で民俗信仰が、例えば聖人伝説のような形でキリスト教に包摂されていく過程が面白かったです。中国において、各地で語られた神話・伝説の類がやがて中原を中心とした地域の「歴史」としてまとめられていく過程にも似ているなと思います。