桂米朝『桂米朝 私の履歴書』
- 作者: 桂米朝
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2007/04/01
- メディア: 文庫
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「心底好きな落語を語って生きてこられた幸せ」−1947年に四代目桂米団治に入門以来、60年にわたって上方の笑いを追い求めてきた不世出の落語家、桂米朝。落語界ただ一人の現役「人間国宝」にして文化功労者の自伝。(裏表紙より)
中学生ぐらいの頃に、なぜか落語に、というより米朝さんにハマってしまった時代がありました。ドタバタ、ギャーギャー言う若手のお笑いさんと違った、落ち着きのある語り口に、子どもながらに惹かれていたんだと思います。
本書はそんな米朝さんの自伝。ずっと読みたかったのですがなかなか手に取る機会がなく、この度文庫化されたということでようやく購入。楽しく読めました。
戦後、「上方落語は滅びた」と言われた時期に、同世代の若手とともにその復興に尽力したのが米朝さん。落語などの語り物のことを「噺(はなし)」と書きますが、まさに米朝さんの口によって新たに蘇ったネタは数知れず。しかし、苦労話を大袈裟に語ったりせず、仲間との切磋琢磨、弟子の話などを綴る口調(噺家さんですからね、「筆致」より合うでしょ)はあくまで軽やかです。
こういう自伝にも笑いを入れないと気が済まないのか、随所におかしなエピソードがちりばめられていて、巻末の年譜でも笑ってしまいました。寝相が悪くて肋骨にヒビ、って…(笑
大分歳もいってしまった米朝さん。これからも元気でいて欲しいですが、死んでもきっと立派な桐の棺桶に入れまっせ(笑)*1。