今日の言霊・2009-06-27

荘子曰、「不然。是其始死也、我独何能無概然。察其始、而本無生。非徒無生也。而本無形。非徒無形也。而本無気。雑乎芒芴之間、変而有気。気変而有形、形変而有生。今又変而之死。是相与為春秋冬夏四時行也。人且偃然寝於巨室。而我噭噭然、随而哭之、自以為不通乎命。故止也。」


荘子が言った、「そうではない。妻が亡くなった時、私だって驚き悲しまなかったわけではない。しかし妻がこの世に生まれるそもそもの始まりを考えてみると、もともと生命はなかった。そればかりか肉体も、肉体を形作る気もなかった。ぼんやりとして定かではないものの中で混じっていたものが変化して気となり、肉体となり、生命を備えるようになったのだ。そして今、さらに変化して死に赴いたのである。これは春夏秋冬の移り変わりのようなものだ。妻は今、天地の間に安らかに眠っているというのに、私がわあわあと大声で泣いていては、運命のなんたるかを分かっていないことになると思った。だから泣くのを止めたのだ」と。
−『荘子』外篇・至楽