内田樹『街場の教育論』

街場の教育論

街場の教育論

筆者の大学での講義の活字化。
主に学校の先生を念頭に置いているようですが、子ども・青年にかかわる全ての人にも有益な内容となっています。「身内のパーティー」にかまけて中高生の好奇心を喚起しようとしない学問領域は消える、とかw
少々言い過ぎの部分もあります。確かにサイバー大学は大学としてはダメですが、ネットを利用した教育を必要としている人はたくさんいると思われます。筆者は大学を、キャンパスという空間を共有する学生というプレイヤーと大学生活というゲームをリアルに体験する場だと言いますが、そうした場に身を置くことができない事情を抱えた人(例えばパニック障害や自由な外出を不可能にする病気など)が高等教育を受けるためにネットは重要なツールになると思うのですが、この本のように言われてしまうとネットを用いた教育に不必要にネガティブな印象がつきまとうことにならないでしょうか。
真名と仮名の話は言語ではなく文字の問題でしょう、とか、いろいろ言いたくなる所もありますが、自分の姿勢を見つめ直し、気づいていなかった部分に目を向けるためにも読んで良かったと思います。