-パレスチナ1948-NAKBA

-パレスチナ1948-NAKBA(公式サイト)
【評価】★★★★☆

21世紀に入り、9.11を境に、「テロとの戦い」が叫ばれ、アラブの民、イスラムの民に向けて偏見のまなざしがふりかかる。中東問題の背景を追求する視線は、か細いものになってきた。マスメディアの衰退も著しい。問題の核心を探ろうとするジャーナリズムはどこにいってしまったのだろうか。今から60年前の1948年、イスラエルが建国され、70万人以上のパレスチナ人が難民となった。動乱の中東の核心には、NAKBAと呼ばれる事件がある。このことをどれほど多くの人が知っているのだろうか。
ここに一人の日本人フォトジャーナリストがいる。現在、報道写真月刊誌「DAYS JAPAN」の編集長を務め、数々の戦場を取材し続けてきた、広河隆一。「被害者側にどんなことが起こっているのか。それを調べ、伝えるのがジャーナリストの役割」を信念とする彼は、40年間パレスチナを追い続けてきた。その間に撮りためてきた写真は数万枚、映像は千時間を越える。しかしその多くが、マスメディアでは様々な限界にぶつかり、未発表のままだった。「このまま眠らせてはいけない」。その貴重な映像を「映画」として発表するため、2002年、一般の有志による『1コマ』サポーターズが発足。フリージャーナリストとして活躍する広河を支援し、ついに2008年、長編ドキュメンタリー映画パレスチナ1948・NAKBA』が完成する。今から60年前、1948年に一体何が起こったのか。廃墟と化し地図から消えていった村々の徹底した取材によって、隠され続けた歴史がいま、姿を現す。

中東問題を扱ったドキュメンタリー。監督は若い頃キブツでボランティアをしていて、その時目にした廃墟がかつてパレスチナ人が住んでいた村の跡であることを知り、以後中東問題を追い続けているフォトジャーナリスト。パレスチナ人に同情的であると同時に、ユダヤ人にも占領政策に疑問を呈し、パレスチナ難民に手を差し伸べる人々がいるということを描いているのは、そうした経験からくる視点でしょうか。
映像・写真共に一定の衝撃を与えるものであることは間違いありませんが、内容的には大きな驚きはなかったです、私には。写真でなく映像であることのメリットを活かした作りになっているとも思えません。