江南一周游-第三天

三日目です。
この日は午前中から仕事。昼の休憩を挟んで2時半頃に作業は終了。
そのあとは自由行動ということになったので、郊外の山に行っていくつかお墓を見よう、ということに。一行は二手に分かれて行動。といっても本当は同じところに行くつもりが、私の入ったグループはタクシーがなかなか捕まらず結果的に別行動になったという次第。
さて、先発隊と違い我々三人組は30分かけてもタクシーが拾えない。しかも行き先の情報もだいたいの場所だけであんまりよくわからない。地図には名前が書いてあるものの有名な観光地ではなく、誰も行ったことがないし情報も持っていません。
タクシーを探しながらあっちへうろうろこっちへうろうろ。見つけた本屋に入ってガイドブック探すつもりが「アレが欲しい」だの「コレは『買い』だ」とか言って荷物が増えるばかり。「もうやめて別なところに行こうか?」と言ったその瞬間に空車が一台。慌てて止めて乗り込みました。その時に、「キミが行きたいところに行けば?」と言い出しっぺの私が助手席に乗せられます。私は当初の計画を選択。
中国ではタクシーに乗る時はまず助手席に一人座ります。一人で乗る時も助手席に座る。どこ通るか話し合ったりするためだと思うのですが、とにかく助手席に座る。助手席に座る者には「メーターを見張ったり貸し切りにする時に料金交渉をする」という役目もありますが、三人の中で一番言葉ができない私が座る羽目になったため、最後にトラブルが起こります。

行き先は南郊の「牛首山・祖堂山風景区」。市の中心から車で30分ほど。ここに鄭和の墓と南唐の王陵があるということです。運転手、存在すら知らないらしく地元民に聞きながら風景区の入り口に。門の中を見ると道路工事みたいなことをしている。話してみると入れるということなので門を開けてタクシーは中に。どうも観光地として整備中らしく、山にはほとんど観光客の気配がありません。
まず鄭和の墓に。といっても遺体はなく、帽子と服が埋葬されているんだそうです。着いたのが5時ちょっと前。中国ではだいたいどこも4〜5時には閉まってしまいますからギリギリセーフ。








石棺です。鄭和ムスリムなのでアラビア文字が刻んであります。明代に、永楽帝の命を受けて大航海に出た人物です。









さて、南唐の王陵に行こうにも時計は5時を回っています。もう入れません、きっと。そこで第三候補、というか私個人はもっとも行きたかった「岳飛抗金故塁」を見ることにしました。
岳飛南宋の武将。対金戦争で活躍し、最後は専権宰相秦檜に嵌められて非業の死を遂げた人物です。私はあんまり好きではありませんが。
その彼が建康府(現在の南京)で金軍と戦った時の石塁が、地図を見るとどうやら牛首山にあるらしい。案内板を頼りに牛首山・弘覚寺に到着。地図ではこの裏手にあるようなことが書かれている。境内、といっても至る所工事中のところを入っていくと案内板が。確かに「故塁」と書いてあります。寺の人間に聞くと「道ができていないので行けない」とのこと。場所は?と聞くと寺の右奥。そこには鉄製の扉があり、南京錠が…施錠していない。当然のように突破w


獣道と呼ぶにはちょっと広い道を行くと山頂方向にあるわあるわ石垣が。道から20メートルほど登ったところに見えます。せっかくだから斜面をよじ登って触ってみました。写真にあるように石垣の途中から木が生えたりしているので最近作ったものではないでしょうが、それでもところどころ補修の跡が見て取れます。レンガが差し込んであったり…石もそんなに古いものには見えませんでしたので、もちろん12世紀のものがそのまま残っているのではなく、もとからあったものを見栄え良く手を加えた、というのが私の見た感じです。よじ登った斜面の途中に「Qoo」のペットボトル(中国製)が落ちていたので、私以外にも登った人間がいるに違いありません。


時間は5時半を回っています。暗くなってきたし、私としても本懐を遂げたので、これで終わりにして帰ることとなりました。
帰り道、運転手がメーターの70という数字を指さしながら「これでイイな」という意味のことを言って切ってしまいました。
実は、行きの道中で「150元で貸し切り」という話がついていたのです。だから、何でいまさらメーターのことを言うんだ、これは関係ないとさっき言っただろう、と思いつつも、迂闊にも運転手の話を聞き流してしまったのです。
車はホテルに到着、先発隊も入り口で待っています。大満足で降車…と思ったら、「220元だ」と言い出すではありませんか。「貸し切りの150元とメーターの70元だ」とかわけの分からないことを言いやがる。「さっき助手席のコイツにそう言った」と。
ちゃんと聞いていなかった私も悪かったのですが、それでもぼったくる方が悪いに決まっている。我々一行に、ホテルのドアマン、たまたま居合わせたホテルの客も加勢して大喧嘩に。結局200元渡して帰らせましたが、あとでホテルからタクシー会社に電話を入れてくれたようです。あいつ、クビになったかも知れん。
とまぁ、ここまでトラブルらしいトラブル無く進んできたのが不思議なくらい、やっぱ中国はこうでなくちゃな、とヘンなところで安心したり懐かしくなったりして三日目終了。明日は蘇州へ移動です。