『ガチ☆ボーイ』

『ガチ☆ボーイ』(公式サイト)
【評価】★★★★★
北大でロケを行ったことと、何故かウチのチームと縁があったこともあり、観てきました。あったあった、陸上競技場の隅っこにw>プロレス部の部室に使われた建物

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予想以上に面白かったです。原作は舞台とのこと。そのせいかストーリーがあっちこっちへ行くことなく、シンプルな展開で良かったと思います。こういうコメディー&感動モノの映画では、登場人物一人一人を描き込みすぎてかえって中途半端になるというパターンが怖いのですが、主人公と部員・家族の絡みもさりげなく、それでいて丁寧に描かれていました。
主人公は、自転車事故による「高次脳機能障害」によって、新しいことを覚えることができず、したがってプロレスにつきものの段取りが記憶できません。だから真剣勝負、いわゆる「ガチ」でやるしかないわけです。これがタイトルの由来。ただ、最初は「ガチ」と思っているのは主人公本人だけで…ということになるわけですが。
そうしたハンデを背負った者のつらさを見事に描いた場面として、デビュー戦の翌日の目覚めから部室までのシーンと、二度目のバスのシーンは強く印象に残りました。以前、「記憶が薄れていくことは必ずしも悪いことではない」という意味のことを書きました。いまでもその考えに変わりはありませんが、一方で「覚えられないことのつらさ」も、たとえ作り物の話だとしてもこの映画を観てよく理解したつもりです。
「記憶」についてもう一つ印象に残ったのは、奥寺(レッドタイフーン)の銭湯でのセリフです。人間は、他人によく思われるためだけに生きるのではありませんが、それでも誰かに見ていてもらわないと生きていけないのも確かだな、と思います。ん?精神的に弱っている>オレ
佐藤隆太、良いです。真面目そうな雰囲気、自信なさげなんだけれどひたむきな眼差し、はまり役でした。父親役の泉谷しげるも、押さえた演技ながら存在感がありました。先代チャンピオン・ドロップキック佐田役の川岡大次郎、どこかで見たことがあると思ったら「救命病棟24時」の弟君ですね。これから観に行く方は観劇中に「幹久?」と声を出してしまわないようにw