「人はなぜ緊張するのか−谷亮子『授乳』発言を手掛かりに−」

柔道の谷亮子選手、出産後初の試合にあたっての心配事はこれだそうです。

 2年ぶりの復帰戦は、故郷福岡での開催になる。あらためて15度目の優勝を宣言したが、自ら「唯一の心配事は授乳」と切り出した。谷は1歳3カ月の長男佳亮くんを母乳で育ててきた。4月8日の試合までに「乳離れ」させるつもりはなく、当日は10時の試合開始前に授乳し、その後も試合の合間に離乳食とともに飲ませることになりそう。「1日6回授乳してますから、今からリズムを合わせないと」とママさん選手の苦労をうかがわせた。これを受けて、全日本柔道連盟の関係者は「授乳ルームを用意しないと」とただちに検討に入った。

たまたま見たテレビのインタビューでも言っていました。「柔道そのものよりこっちの方が心配」と。
で、これを聞いて思ったことを備忘録的に。


私は高校時代、陸上部に所属しており、いくつもの試合に出場しました*1
陸上に限らずスポーツの試合って、競技前が結構めんどくさいんですよね。エントリーは何分前か、ウォーミングアップはどこでやるか、ユニフォーム姿になってからそれまで着ていたジャージを付き人に預けて、付き人がいなければしかるべき場所に置いて…。競技場に着く前だって面倒です。起床してから朝食を摂って、チームメイトと待ち合わせ、交通機関を利用して競技場へ移動…。
谷選手は、子どもの頃から数え切れないほどの試合に出場していると思うんです。で、畳の上の勝負だけではなくてこういう「試合前の作業」も数え切れないほど経験している。だから、試合に向けての準備に、それまで経験したことのない要素が入り込むのがちょっと気になったのではないでしょうか。


私は14年間、ある形態でもって「喋る」ことを仕事としてきました。確かに喋る内容は経験を積むうちに次第に頭の中に蓄積されてきて、たいていの内容ならすぐに出てくるようになったのですが、それでも緊張することが皆無というわけではありませんでした。
ほっとけば自然に喋り出せるのに、なぜ緊張してしまうのか。いろいろ思い返してみた結果、緊張する場合の一つとして「喋る前の作業にルーティーンではないものが含まれている」時というのがありました。喋り出す前に聴衆にしてもらう作業があるとか、事前に配布するものが多いとか。
で、いつしか喋る内容よりも「『喋る前』をいかにスムーズにこなすか」に意を払うようになりました。そうするようになってからは、緊張とかぎこちなさからずいぶん自由になれた気がします。まず喋る内容ありきなのは間違いないですが、そこをしっかりこなせるようになるのも実は結構大きいと思うぞ。


スポーツに限らず何事においても「事前の準備」を落ち着いてこなせるようにすることが緊張しないコツなのかな、とまぁ、こういうお話でした。


ン?そうすると、「喋る環境」が激変する4月からは緊張しっぱなしってことかorz
ま、良い刺激になるでしょう。ちょっと気が緩みすぎていた、というのも事実だし。

*1:足は遅いですよ、長距離でしたから。しかも実力がなかったのでみんなが嫌がる3000m障害専門w