ポール・ギャリコ『猫語の教科書』

猫語の教科書 (ちくま文庫)

猫語の教科書 (ちくま文庫)

ある日、編集者のもとへ不思議な原稿が届けられた。文字と記号がいりまじった、暗号のような文章。…原稿はなんと、猫の手になる、全国の猫のためのマニュアルだった。「快適な生活を確保するために、人間をどうしつけるか」(裏表紙より)

無類の猫好きである作者が、「猫はおそらくこう考えているのではないか」という内容を、メス猫に語らせる形でまとめたもの。まあ語り口調の腹立たしいこと(笑)。「自分たちこそが猫を飼ってやっている」と信じて疑わない人や「オレ圧倒的に犬派!」と思っている人にはガマンがならないかも知れません。しかし思いのままにならないところが猫の魅力でもあります。作者も最後に書いている通り、猫を飼ったことのある人なら「ああやっぱり」と思ってしまうところが多いのではないでしょうか。
ちなみに私は飼ったことはありませんが、作者が「終わりに」で言っているようにこの本は人間関係にもいくつかの示唆を与えてくれます。とりわけ女性に対する接し方ですね、別に恋愛の対象に限らず。女性はどこか猫に似ているところを持っているのかな、と。
ただし、世の女性に求めたいのは、男というものはみんなここに書かれている人間のように愚かで虚栄心が強く強情な上に忘れっぽいところがあるので、ひとつ暖かい目で見てやって欲しいな、と(切実)。この本、女性がどう読むかちょっと気になります。