竹内実『中国という世界−人・風土・近代』

中国という世界―人・風土・近代 (岩波新書)

中国という世界―人・風土・近代 (岩波新書)

入門レベルの中国論。人(個人・家族・宗族)・風土(地勢・「天下」概念・南北)・近代(近代都市の代表としての上海・近代における女性)という三部構造。これに華夷思想・民族問題を加えれば、そのまま中国文化論の講義になりそう。
とはいえ、内容は個別分散的で、各テーマが有機的に結びついてこない。かの国を端的に説明することはかくも難しい。
中国は「歓楽」へ向かう、というのはよく分かる。でも、「文明」*1にはなかなか向かわないんじゃないかな。

*1:ここで言う「文明」とは、日本語で言う文化・文明という意味ではなく、中国語における「礼儀正しい/現代的な」という意味。