柴田佳秀『カラスの常識』
- 作者: 柴田佳秀
- 出版社/メーカー: 子どもの未来社
- 発売日: 2007/02/24
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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カラスの生態や、人間からするとムカついたり不思議に思う行動の数々にわかりやすい解説が施されています。何かと話題になるカラスですが、こうして読んでみるといろいろ誤解をしていた部分が多いなぁ、と思います。例えば「生ゴミの日を覚えている」とか「ゴミ捨て場にいる集団にはリーダーとか見張り役がいる」とかはみんなウソみたいですね。ハシブトとハシボソの違いも勉強になりました。札幌は結構ハシボソが多いんじゃないかなぁ。生涯伴侶を代えないことがほとんどだというのも知りませんでした。ここは人間も見習った方がよいと思われ(笑)。
結局、カラスも(日光のサルも奈良公園のシカも)野生動物であると言うことを忘れた人間が、自分で原因を作っておきながら(ゴミ問題・給餌など)都合のよい理屈を振りかざして彼らを悪者視しているわけであって、人間もカラスも生態系の構成要素であることを良く認識する必要があるなぁ、と改めて思いました。
カラスの駆除という行為に対する子供の意識の変化にはかなりショックを受けてしまいました。「あいつ気にくわない」から「あいつなんて死ねばいいのに」に至るハードルは相当高いのが当たり前だと思うのですが、そこが低くなってしまっていることにカラス問題も関係しているのかも知れません。(話は逸れてしまいますが、スタジアムで「○○(選手の名前)イラネ!」などとほざくサポは本当にやめて欲しい。そういう親の子供は例外なくマネしてます。)
筆者も言っていますが、カラス問題の本質は自己中心的な思考と他者理解の仕方にあり、したがって人間同士の関係とも通ずる所があると思います。カラスの常識、人間の非常識。人間の常識、カラスの非常識。