栃木・容疑者自殺:弁護士は自殺の意思把握 県警に伝えず

栃木・容疑者自殺:弁護士は自殺の意思把握 県警に伝えず

 栃木県さくら市の保険金目的の殺人事件で、妻殺害容疑で再逮捕された自動車修理販売業、小林広容疑者(58)=同市早乙女=が6日夜、県警宇都宮中央署内で首つり自殺した問題で、担当の松本勝弁護士が6月の時点で同容疑者の自殺の意思を把握していたことが分かった。松本弁護士は「死ぬ、死なないは人間の究極の尊厳。本人意思を尊重した」として県警に伝えなかったという。

 小林容疑者は6月、保険金約600万円を詐取するため自宅近くの物置兼住宅を全焼させたとして、非現住建造物等放火の疑いで、会社の部下ら4人とともに県警に逮捕された。松本弁護士によると、逮捕約1週間後の接見で小林容疑者は「自分の身は自分で始末をつける」「看守に見つかると没収されるので、遺書を(留置場の)畳の下に入れておく」と話したという。松本弁護士はそれを県警には伝えず、遺書の在りかは自殺後に知らせたという。また、自殺直前の6日夜の接見でも小林容疑者は「疲れた」と繰り返し「妻と次男の眠る墓に早く入りたい」と話していたという。

 一方、事件担当の県警幹部は「人の命にかかわり、知らせてほしかった」と話した。

 小林容疑者は先月31日、生命保険約9000万円を目当ての妻はるみさん(当時41歳)殺害容疑で、会社従業員の男ら2人とともに再逮捕された。県警は、はるみさんの連れ子で次男善輝君(当時7歳)が04年2月、同市の県営住宅から転落死した経緯も聴く方針だった。伏木一雄・県警捜査1課長は「捜査本部としては大変残念。捜査に影響がないとは言えないが、事件の全容解明に全力を挙げたい」と語った。

 一方、司法解剖の結果、小林容疑者の死亡推定時間は6日午後8時半ごろで、死因は窒息死だった。【山下俊輔、中村藍】

何考えてんだこの弁護士。