上橋菜穂子『闇の守り人』

闇の守り人 (新潮文庫)

闇の守り人 (新潮文庫)

もっとゆっくり読めばいいのに読了w
今作の舞台はチベットかネパールを思わせる山岳地帯。氏族制みたいなものも出てきており、そうした設定も含めて面白く読めました。
ちょっと内容に触れてしまいますが、<闇の守り人>=この世を去った親族達の幽霊という設定について。彼らが<山の底>から地上を守っているということなのですが、これはどうなんでしょう。山岳民にこういう観念、つまり死者が地下世界に帰っていくという観念はあるのでしょうかね。チベットあたりでは鳥葬・火葬が多く見られ、死者は天へ帰っていくという観念が支配的なのではないかと思うのですが。
地底世界に神が宿るというのはあまり聞いたことがありません。牧童=<山の底の民>もドワーフのような地下世界の住人として設定されているようで、この辺は必ずしもアジア的な世界観のみで成り立っているというわけではないみたいです。