森安孝夫『シルクロードと唐帝国』

シルクロードと唐帝国 (興亡の世界史)

シルクロードと唐帝国 (興亡の世界史)

中華至上主義的=唐中心的見方、あるいはシルクロード史観に修正を迫る良書。
確かに、この時代を「唐を中心とした国際秩序の時代」と捉えることはもはや時代遅れであることは間違いない。そうした古い見方で割を食っているのは中央ユーラシア史です。が、だからといって中華主義も「当事者の認識」として重要な要素であることは間違いないわけで、杉山さん筆頭にこの方面の方々の些か乱暴な物言い(戦略的な意図あっての物言いなのでしょうが)が、一般読者のミスリードを招く結果にならないか心配です。以上、中華側からのイチャモンでした。