6者協議、北朝鮮との対立解けず最終日へ(asahi.com)

 北京で開催中の6者協議で21日、議長国・中国や米国が核放棄に向けた具体的な行動を北朝鮮に求めたが、金桂寛(キム・ゲグァン)外務次官は、金融制裁の解除なしには応じられないと強硬に拒否した。米首席代表のヒル国務次官補は同日夜、報道陣に「23日の朝に帰国する」と宣言し、中国が一応のめどとしている22日中の協議終了を求めた。作業部会設置や合意事項の文書化など中国が目指す作業は、ほとんど進展のないまま最終日を迎える。

 北朝鮮が主張を変えなければ、成果のないまま協議が打ち切られる可能性が高い。だが、過去の6者協議では最終日になって柔軟な姿勢をみせたこともあり、言動が注目される。

 米朝の代表は21日、2回にわたって協議した。米朝協議は3日連続。ヒル氏は同夜、日韓の首席代表と夕食を共にしながら意見調整した後、「まだやるべきことが多い。22日も(北朝鮮側と)会うことになるだろう」と語る一方で、「土曜日の朝に(北京を)たつ」「彼ら(北朝鮮代表団)は、金融制裁問題が解決しない限り6者協議の議題に取り組んではならないと首都(平壌)から強い指示を受けている」と述べた。

 日本代表の佐々江賢一郎・外務省アジア大洋州局長も21日夜、「状況は極めて厳しく、打開のメドは立っていない」と米朝の対立が全く解けていないことを示唆。「非核化や共同声明を実施するうえで、北朝鮮は誠意ある対応を見せていない」と不満を表し、合意文書作成についても「そんな状況にない」と語った。日本外務省関係者によると、中国から文書の原案も示されなかった。この日も日朝協議は行われなかった。

 中国外務省の秦剛・副報道局長は21日の定例記者会見で「時間が足りるか。主要な当事者(米朝)の立場の違いが一歩縮まるかどうかにかかっている」と、なお米朝の接近に期待を寄せた。文書取りまとめについては「もし6者の共通認識を凝集した文書が発表できれば、これに越したことはない。我々は、この方向で努力している」と述べた。

 20日まで米朝の金融制裁問題の協議に出席したグレーザー米財務次官補代理は21日、帰国の途についた。北朝鮮の呉光鉄・朝鮮貿易銀行総裁の動向は確認されていない。

結局米朝の金融制裁問題担当者が話しただけで終わった感のある今回の協議。あくまで2者協議に応じないという建前を貫きたいアメリカと、アメリカとの直接対話で「見返り」をせしめたい北朝鮮。この二か国のために残りの四か国も呼び出される、この構図は続きそう。