あまりに馴染みすぎてマヒしているのか?それとも…

確か日曜日だったと思いますが、こんな記事が載っていました。

「悪い景観」あなたの街も?
都市計画、建築、土木などの専門家グループが、日本の「悪い景観100景」の選定を進めている。巨大看板、電線電柱、不況の街のシャッター商店街小泉首相が「空の復活」を提唱した日本橋も含め70ヵ所をすでに選んで、写真にコメントをつけてホームページで公表している。「広く景観論議を巻き起こす刺激にしたい」と「100景」の完成を急いでいるが、やり玉にあがった側は当惑気味だ。(朝日新聞

専門家グループ「美しい景観を創る会」のHPはこちら。「美しい景観形成を国民運動に」と訴え、その一環として「悪い景観100景」選定に取り組んでいるようです。70ヵ所の中には、そこでなくとも似たような風景が身近にあるというものが多くて、ビックリというか何というか…。新宿の夜景なんかすすきのそっくりですが、これには「無差別な広告看板の洪水」とのコメント。他にも林立する自販機を夜道の照明と言ってみたり。
これに対して指定された側では「地元では好評なのに意外だ」という意見も。また、ある建築家はブログで「悪い景観100景を考え直す」と銘打って、「100景」に肯定的なコメントを付けています*1
確かに「悪い景観100景」には「そこまで言わなくても」というものも散見されます。26番なんて私の実家の近くを流れる川の土手沿いにはいくらでも見られるもので、これを塗り直したからといって景観は良くならないと思います。そもそも橋そのものが不格好なんだし。ネオンサインにしても、アジアの街には香港のようにギラギラしたネオンが街らしさの象徴となっているところもあります。欧米などでは街が同じトーンで統一されているところが多いのですが、私はそれを見習えと言うつもりもありません。ある程度の調和が取れた上で、なおかつ多種多様なものが混在しているというのが好きだからかな、と自分を分析してみたり。結局「考え直す」の建築家が言うように景観は主観の問題なので、様々な主観を持ち寄って対話していくことが必要なのでしょうね。
ただ、「美しい景観」を創りたいのであれば「美しい景観」を挙げればいいのにな、とは思いますね。「訴訟も受けて立つ、という覚悟」というから真剣に考えた上で問題意識を喚起したかったのでしょうが、結局「その悪い景観をどうすれば良くなるのか」が提示されていない以上、あまり生産的とは思えません。会の趣旨自体は悪くないとは思うので、「お偉いさんの押しつけ」にならないように活動して欲しいと思います。

*1:でも『駐輪場のにぎわい』は違うと思う、絶対(笑