今日の言霊・2006-05-24

「人間の始めることはいつもこうなのだ。春に春霜があったり、夏に虫害があったりすると、かれらは前途の望みを失うのだ。」
「しかしかれらはその種を失うことはめったにない。」と、レゴラスはいいました。「そしてその種は土の中に埋まって腐り、思いもかけぬ時に思いもかけぬ場所でふたたび芽を出すのだ。人間の功業というものはわれわれのいなくなった後まで残るだろうよ、ギムリ。」
「それでも結局はそれも無に帰し、残るのはああなっていたかもしれないという思いだけだろうよ。」と、ドワーフがいいました。
「それにはエルフは何とも答えられないね。」と、レゴラスがいいました。
−J.R.R.トールキン指輪物語(8)王の帰還 上』