吉見俊哉『ポスト戦後社会―シリーズ日本近現代史〈9〉』

ポスト戦後社会―シリーズ日本近現代史〈9〉 (岩波新書)

ポスト戦後社会―シリーズ日本近現代史〈9〉 (岩波新書)

日本社会の変質をメルクマールに、「戦後」を七〇年代まで、八〇年代以降を「ポスト戦後」と定義し、前者を物質的豊かさや社会主義といった「理想」を実現することに人びとが向かった「夢」の時代、後者を「夢」やその手前にある「現実」との結びつきが希薄になっていった「虚構」の時代と捉える視点から、政治運動・経済成長・家族・地域開発・格差・(アメリカを重要なプレーヤーとする)アジアとの関係についてまとめた一冊。
私はちょうど「ポスト戦後社会」への移行期に生まれたので、かなり重厚な「リアリティ」を感じながら読みました。本書の内容は私にとっては「虚構」ではない。